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中村 剛実; 岸 敏明; 熊田 博明; 楠 剛; 松村 明*; 小野 公二*
no journal, ,
JRR-4で実施されたホウ素中性子捕捉療法の照射実績、並びに新しく整備した座位兼用照射台,患者の頭部を固定する台及び3次元デジタイザーによる患者の位置測定に関して報告する。当日の患者のセッティング位置が事前評価と若干異なる。平成19年の3次元デジタイザーで位置測定を行った症例を対象に患者セッティング精度が線量に与える影響について評価を行った。この結果より、3次元デジタイザーによる位置測定に基づき照射当日のセッティング条件を再現することにより事後評価の精度を向上することができる。
熊田 博明; 松村 明*; 丸橋 晃*; 仁井田 浩二*; 関 暁之; 伊巻 正*
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JRR-4で実施されているBNCTに対して、原子力機構では患者に付与される線量を計算によって評価する線量評価システムJCDSの開発,高度化を行っている。現状のJCDSは輸送計算にMCNPを適用しているが、このコードを中性子,光子だけでなく陽子線,重粒子線の輸送計算も可能なPHITSへの変更を行っている。このコードを使うことによってBNCT後に陽子線治療などを追加した際の患者への総線量を評価することが可能となる。また加速器BNCTに対しても、線源側からの計算に基づく線量評価が可能となる。PHITSによる計算性能を検証するため、円筒水ファントム体系に対する線量計算を行い、MCNPによる計算結果との比較を行った。さらにはJRR-4で実施されたBNCTの患者モデルをPHITSでも線量計算を行い、MCNP計算値,実測データとの比較を行った。中性子に起因する線量は統計精度の誤差範囲内で一致したが、線量についてはPHITS計算値の方が約5パーセント低い値を示した。これは線の線量変換係数がMCNPとPHITSとで異なるためと考えられる。また計算速度は同一粒子数の計算に対して約2.5倍高速化し、線量計算時間を大幅に短縮できることを確認した。最新のJCDSの特徴とPHITSへの変換による利点を紹介し、PHITSの検証結果を報告する。
楠 剛
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国内の医療照射にかかわる研究者が多数集まる平成19年度京都大学原子炉実験所専門研究会「中性子線と荷電粒子線の総合利用に関する研究会」において、今後の医療照射を円滑に進めることを目的として、最近のJRR-4の運転状況及びBNCTでの利用運転実績等を説明する。
浜田 信行*; 小林 泰彦
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これまで、電離放射線は、「標的」である細胞核が直接照射された細胞にのみ生物効果があると考えられてきた。しかし、近年、放射線の生物効果は、細胞質を照射された細胞,照射細胞の周囲の細胞、そして、照射生存子孫細胞などにも及ぶことが明らかとなってきた。このような、核が照射されていない細胞に生じる効果、すなわち、非標的効果は、放射線照射の情報が、照射された部位から他の部位に時間・空間的に伝達されることにより誘発されると考えられる。核が照射された細胞に生じる効果、すなわち、標的効果は、放射線のLET(単位長さあたりに付与されるエネルギーの量)により異なる。LETが高い重粒子線は、高密度に電離するため、修復困難なクラスターDNA損傷(DNA鎖切断などが局所に密集した損傷)を誘発することにより、LETが低い光子(線やX線)よりも、細胞を高効率に殺傷すると考えられている。このような高い殺細胞効果に加え、線量分布の集中性にも優れていることから、重粒子線はがん治療に利用されている。放射線医学総合研究所をはじめとする現行の施設での優れた治療実績をもとに、群馬大学をはじめとする国内外の他機関でも治療設備の導入が計画検討されていることから、今後の発展が期待される。しかし、その基盤となる生物学的な作用機序については、不明な点が多い。